こんにちは、労務行政書士事務所 三九 です。
10月末に令和6年賃金引上げなどの実態に関する調査の結果が公表されました。
ニュースなどに取り上げられている数値の内容の実態はどうなっているのでしょうか?
令和6年の「賃金引上げなどの実態に関する調査」
1 賃金の改定状況 (2)1人平均賃金の改定額 からは 11,961円
労働者組合ありの1人平均賃金の改定額 からは 13,668円
労働者組合なしの1人平均賃金の改定額 からは 10,170円 となっています。
しかし、注意して見るべき点はたくさんあり、下記はほんの一例にすぎません。
赤線の通り 常用労働者100人以上の会社だけ が対象です。
また、調査協力会社は 1,783社 です。
少し古いデータですが、中小企業庁のデータを参照比較しながら見てみましょう。
中小企業・小規模事業者の数
企業規模要件の別図 中小企業庁のHPより
常用労働者100人以上とは、卸売業・サービス業はギリギリ中小企業に該当し、
小売業で言えば、大企業に該当します。
企業割合を上記の数を引用すると、336.5万-285.3万=51.2万者。
51.2万者の中小企業が全て常用労働者100人以上と仮定した場合でも、
1,783社は 0.34% にすぎません。
1,783÷522,000= 0.0034 = 0.34% = 1,000社(者)に約3社(者)
*52.2万者 = 51.2万者 + 1万者(大企業)
全企業数で見た場合には、
1,783社は 0.05% にすぎません。
1,783÷3,375,000= 0.00052 = 0.05% = 10,000社(者)に約5社(者)
*337.5万者 = 336.5万者(中小企業) + 1万者(大企業)
以上のことから判るのは、
閲覧されている方の会社実情を表していない確率のほうが高い!
ということです。
その他、実態調査でみるべきところなど
他にもこの資料は有益で見るべきところはたくさんありますが、下記はその一例です。
赤線で示した通り、引下げを行っている事業所もあり、令和6年の△17,270円は、
令和6年の引上げ額を上回り、令和5年の△4,814円を大幅に上回っています。