労使協定

労働

 こんにちは、労務行政書士事務所 三九 です。

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下

「育児介護休業法」)が改正され令和4年4月1日より施行されます。

 それに伴い新しい労使協定が必要になりますが、締結はお済でしょうか?

 そういった点から労使協定について見ていきたいと思います。

届け出が必要な労使協定

題            名条文(労基法)届け出が必要
注意点
強制貯金18条
1か月単位の変形労働時間制32条の2
フレックスタイム制32条の3*1
1年単位変形労働時間制32条の4
1週間単位の非定型的変形労働時間制32条の5
時間外・休日労働36条
事業場外のみなし労働時間制38条の2*2
専門業務型裁量労働制38条の3

*1 清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制を採用する場合にのみ届け出が必要=32条の3-4項

*2 当該業務の遂行に通常必要とされる時間として、労使協定で定めた時間が労基法32条や40条を超える場合に届け出が必要=規則24条の2

 規則は、労働基準法施行規則を指します。以下、同様。

届け出は求められていない労使協定

題                名条文(労基法)
賃金支払い一部控除24条
休憩(一斉休憩付与の例外34条
時間外・休日及び深夜労働の割増賃金
代替休暇
37条
年次有給休暇(時間単位付与39条
年次有給休暇(計画的付与39条
年次有給休暇(標準報酬月額30分の139条
育児介護休業法の労使協定による適用除外者育児介護休業法6条など
高年齢者雇用安定法の継続雇用制度
高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針第2の3関係など
2025-3-31までの経過措置

厚労省 令和4年3月改訂版 労使協定 育児介護などの規定例

会社(=使用者)が締結する労使協定の相手方

過半数代表

 過半数代表とは(労基法18条など)、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合が、

 ある=その労働組合(=過半数労働組合)

 ない=労働者の過半数を代表する者(=過半数代表者)

過半数代表者の要件など

 過半数代表者の定義などは、規則6条の2に定められています。

  1. 労基法第四十一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
  2. 労基法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと
  3. 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない
  4. 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない

その他

 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法

 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則

 基発0401第27号 令和2年4月1日 など

労働時間等設定改善委員会(事業所ごと)

 上記のに規定されている法定要件を満たし、労働時間等設定改善委員会の5分の4以上の多数による決議があれば、労基法で定める労働時間等(下記参照)に関する労使協定に代替することができる。

 条数(表中の18条など)については、前述の表を参照してください。

1か月単位の変形労働時間制
フレックスタイム制
1年単位変形労働時間制
1週間単位の非定型的変形労働時間制
休憩(一斉休憩付与の例外
時間外・休日労働(36協定)決議の届出は必要
時間外・休日及び深夜労働の割増賃金
代替休暇
事業場外のみなし労働時間制
専門業務型裁量労働制
年次有給休暇(時間単位付与
年次有給休暇(計画的付与

労働時間等設定改善企業委員会(企業単位)

 上記のに規定されている法定要件を満たし、労働時間等設定改善企業委員会の5分の4以上の多数による決議があれば、労基法で定める労働時間等(下記参照)に関する労使協定に代替することができる。

 条数(表中の18条など)については、前述の表を参照してください。

  1. 時間外・休日及び深夜労働の割増賃金(代替休暇
  2. 年次有給休暇(時間単位付与
  3. 年次有給休暇(計画的付与

有効期間など

 最後に、有効期間などについても一応の決まりごとがあります。

 1か月単位の変形労働時間制では、平11・3・31 基発169号により「有効期間は3年以内が望ましい」となっています。

 これについて、有効期間は「1年以内が望ましい」というものもあり、労使協定を定める場合には注意が必要になります。特に届け出が必要なものは、管轄の労基署に確認するのがよいでしょう。

 また、1枚をコピーして持参すれば、受理印を貰うことができます。

 最後に、書面については保存期間がございます。当分の間は「3年」ですが、いずれ「5年」になりますので、ご注意ください。

 *従前は3年、法改正で5年となりましたが、当分の間は3年です。

error: Content is protected !!